ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
そして次の日。

私は定時で仕事を終え、新藤さんとほんの少し時間差を開けて職場を後にし、エレベーターホールで彼に追い付いた。


「お疲れ様。仕事は大丈夫なのかい?」

「はい。ちゃんと区切りを付けて来ました。私、このところ帰るの早いんですよ? 私だけじゃなく、課長やみんなも少しずつ早くなってます」

「そうか。それはいい傾向だね?」

「はい」


ぴったり定時で上がる人はあまりいないけど、30分とか1時間ぐらいの残業で帰る人がだいぶ増えて来たと思う。私もその1人なんだけど。


「まみがね、とても楽しみにしてるよ」


会社を出たところで、新藤さんが唐突にそう言った。


「え? 何をですか?」

「それはもちろん、君が家に来てくれる事をさ」

「ほ、本当ですか? わあ、嬉しい……」

「昨日あの子に話したら、飛び上がって喜んでたよ。あの子にしては珍しくね」

「そうですか。それはとっても光栄です。私もまみちゃんに会うのがとても楽しみです」

「そう? ありがとう」


そうかあ。まみちゃんが……

まみちゃんが喜んでくれた事は、もちろんとても嬉しかった。でも、私にはちょっと引っ掛かるところがあった。

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