スイーツ男子、佐藤くん
4.それぞれの夏色
「海、行かない?」

「…はぁ。」

たまたま近くのカフェで出会ったのは、上品な白いワンピースの美人さん、もとい佐藤先輩だった。そのまま相席をしてたわいもない話をしていると突然のお誘い。

「私の従兄弟がね、趣味で毎年海の家をやっているの。今年もやるつもりらしいんだけど、従兄弟が腰痛めちゃって。手伝いに行かなきゃいけないの。もちろんバイト代は払うし、私も行くつもりよ。…藤山さんさえよければ、の話なんだけど。」

バイト、かぁ…。そういえば私、バイトの経験はないし、やってみたいとは思う。それに、今年の夏は両親とも仕事で忙しいし、蛍も合宿でいないし…。

一人でダラダラするよりは、いいかも。

「や、やります!」

「ええ、決定ね。後はもう一人説得すれば終わり。それじゃあ、日が近くなったら連絡するわ。あ、メアドだけ教えてくれる?」

佐藤先輩に携帯を渡すと慣れた操作で登録してくれた。先輩とメアドの交換をし、鞄にしまいこむ。

「あら、もう時間だわ。それじゃあね、…サチちゃん。」

ふふ、と微笑まれた。
え、あの、呼び方…!
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