私がある日消えたなら
家族

家族
私はいけないことをしてしまった。いけないとわかっていた。
たくさん反省した。けど償いきれないから私は消えました。

父 斎藤武蔵
普通のサラリーマン。
母 斎藤静香
主婦。
妹 斎藤茜
小学生。
私 斎藤真理子
中学生。
どこにでもいそうな普通な家族。
近所の人からは仲のいい家族だと言われ続けていた。
ただ、上部だけの家族をそれぞれが演じていただけなのに。

午後11時20分
『ただいまー。』
父が仕事から帰ってきた。
『おかえりなさい。それより真理子がこんな遅い時間になったのにまだ帰ってこないの』
リビングから母が飛び出してきて焦るようすで言う。
私は、笑った。ざまみろ…
『家ででもしたんじゃないか?心配する必要はないって。どうせ数時間もしたらお腹空いた何て言って帰ってくるさ』
スリッパを履きリビングへいく。
『けど、なぜ家出なんてしたのかしら。』
『そんなの知らないよー』
父はもうソファーにがっぽり座りお酒を飲む。
『もう11時よ。あと少しで明日になっちゃうじゃない。私探しに行ってくる。』
母は、薄ピンクのカーディガンをはおい、外に飛び出した。

中学二年生。ストレスなどたくさんあった。けど、もう忘れた。今日の下校の時から。

『真理ちゃーん。いるなら返事してー。お願い。ママとパパ心配だよー。』
いるわけないじゃない。
私はこの世界にいないのに。
けど、母はずっと私の名前を呼んでいた。
『真理ちゃーん 』
おもしろすぎる…。
まるで私があなた達を操っているようで。

私が消えて2日後
家族は警察に捜索願いを提出した。
『よろしくお願いします。どうか1日もはやく娘を見つけてください。』
頭を下げながら母が言う。
『わかりました。』
警察の方も優しく頭を下げた。

警察署から自宅まで帰る途中、母は泣いていた。ハンカチで顔を覆うが
ハンカチの下からしずくが垂れていた。押さえきれなかったのだろう。


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