愛させろよ。
そこにあったのは、もうひとつの瞳だった。

その瞳は、俺を外れてどこか遠くをとらえていた。

でも色は左と変わらず、深い森のような緑色だった。

一筋の涙が、その瞳からこぼれた。

「ねえ相原……」

先輩は俺の体に手を回した。

俺は静かに先輩の頭を抱いた。

俺の耳は確かに聞いた。

耳元でささやく、先輩の声を。



「……大好き」
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