鬼部長の優しい手



「…なにそれ。
なんだよ、もう!」



なんでそんな可愛いんだよ。
いつもみたいに、冷たくていいよ。

…そんなこと言われちゃったらさ、
仕事中だってこと忘れて、抱き締めて
今すぐキスしたくなっちゃう。




「…ごめん。本当ごめん、
俺が悪かった。だからもうやめて!」


これ以上可愛いことしないで!


「な、なに怒ってんのよ?

…やっぱり、嫉妬したこと怒ってるの?
おかしいわよね。
凉穂に嫉妬するなんて…」


「待って!やめて!
もうこの話終わり!仕事しよ!

…じゃないと、俺が無理。
黛実ちゃんが可愛すぎるのが悪い。
今止めなきゃ、抑えらんない。」




俺が慌ててそう言うと黛実ちゃんは、
“なに、なんのこと?
変よ?山本”なんて言って、きょとんとしてる。



…無自覚ほど、残酷で恐ろしいものはない。



いつの間にか、みんな仕事しないで、
こっち見てるし。
…恥ずかしすぎる。




とりあえず、まぁ、仕事に集中して、
今週末にでも黛実ちゃんをデートに誘ってみようかな。



…俺は心のなかで今週末の計画をたて、
周りに気づかれないように、
少し口角をあげ、微笑んだ。











決意と計画実行後~山本 梓の場合~
Fin...



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