鬼部長の優しい手



「…あのさー、俺ずっと思ってたんだけどさ、いつになったら“それ”やめてくれんの?」


「え?」


さっきまで嬉しそうに微笑みながら、
私の入れたコーヒーを飲んでいた山本は
一転、急に真顔になり、そんなことを
言ってきた。




え?なによ、さっきまであんなに
へらへら笑ってたくせに、そんな
真剣な顔して


なに?私なんかした?



山本の言う“それ”が、よくわからなかった私は“なにが?”と首を傾け山本に
聞いた。



「…その仕草すごい可愛いけどダメ。」

「な…っ、なによ、急に!」




そんなこと、さらっと言うな!



赤い顔を悟られまいと、
慌てて俯いた。




「…うん、本当可愛かったんだけど、
そうじゃなくて」


「だから、なにが!」



ぼそぼそと“すごい可愛かったけどダメ。”と独り言のように呟く山本に
イライラして私は声をあらげた。




「…だからさ、


いつまで“山本”なの?」



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