恋愛なんて、めんどくさい。

ベッドから降りて、化粧品の入った引き出しを開けて、開封前のコンドームの箱を取り出す。

「何で柊、そんなモン持ってんの…?」

「企業秘密。」

まさか自分が使うとは思ってなかったけど。


「あ~、なるほど。ヤル気満々ってワケね♪」

「別にそんなんじゃな…「まーいいじゃん。これで何の問題もないよな?」


ゔ。

「…問題ない事が問題。」

深宮に箱を手渡して、ベッドに腰掛ける。


「覚悟、決まった?」

さっきまでのからかうような口調とは一転、同じ人とは思えないぐらい優しい声色の深宮。




…ずるいよ。

そんな風に言われたら、断れるワケないじゃん。


無言で首を縦に振ると


「今夜は寝かせねぇから。」

さっきとはまた打って変わって色気駄々漏れな深宮。



…だから、ズル過ぎるって。


こんなんじゃ、心臓いくつあっても足んない。


深宮の瞳に吸い込まれるように二人の距離が縮まっていく。


あと3cm…、2cm…、1cm…






0cm。

< 165 / 299 >

この作品をシェア

pagetop