【短】片思ゐ。

別世界

次の日の朝、教室に行くと山名君は数人の男子と話していた。山名君のような明るい人には、やはり人が集まるのだろう。
私には、友達がいない。登下校を共にする人はいるけど、友達と呼んで良いのかわからない。その子は私と一緒にいるとき、全然楽しそうじゃないから。
自分の椅子に座り、当たり前のように本を開く。これも3年目だからもう慣れた。
だけど今日は…、山名君の声が気になって本の内容が頭に入ってこない。こんなの初めてだ。
山名君と話してみたいけど、どうせ上手く喋れっこない。同じ空間に居るのに、まるで別世界の人のようだ。
自分の不甲斐なさに、一人で必死に涙をこらえた。
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