恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜

プロポーズ




 単純な作業を繰り返して、息が切れた頃に休憩が入り、そしてまた作業をして……。それを何度繰り返しただろう。
 短冊を台紙に張り付けていた古庄が、息を吐きながら言った。


「さあ!終わりが見えてきたぞ。頑張れ!」


 真琴が時計の針を見ると、もう夜中の2時半を指していた。眠気を感じてもいい時間なのに、集中しているからか目は冴えわたっている。誰も眠そうな顔をしている者はいない。
 真琴は大きく伸びをした後、再びペンを取って数字を指で辿り、指定された色をただひたすら塗っていく。


 終わりが見えてきた……と古庄が言ったものの、なかなかゴールまで辿り着けず、それから2時間の沈黙が過ぎ去っていった。そして……。



「終わった――――っ!!!」



 実行委員長が最後の一枚を貼り付けた瞬間、一同はそろって声を上げた。
 憂き目を見たモザイク画は、きれいに修復され再び完成した。真琴と古庄と六人の生徒たち、その八人で修復する部分の半分以上の部分を手掛けたことになる。

 ホッとするのも束の間、古庄が口を開く。


「まだ終わってないぞ。これを屋上から吊り下げる作業が残ってる」


 生徒たちは「ああ……」とため息をつき、気を取り直してやる気を奮起させた。


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