恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜
生徒たちは楽しそうに、そう言いあいながら、ガムテープでしっかりとモザイク画に竹竿を接着させていった。
竹竿にロープを結わえて、いよいよ吊り下げる作業に移り、皆の緊張が一気に高まる。作業の手順は解っているので、皆の口数は少なくなって、しまいには誰も口を利かなくなった。
「待って!手を滑らせても大丈夫なように、先にロープの端を手すりに結んでおけばいいんじゃないの?」
沈黙を破って、側で作業を見守っていた真琴が横から口を出した。
「おー!先生、頭いい!!」
「そうだよ!そうしとけばよかったんだよ」
生徒たちは口々にそう言って、早速それを実行する。
「あんまり身を乗り出して、落っこちるなよ」
少し離れた場所から、古庄が声をかけた。古庄も、もう自分は手を出さず、生徒たちが慎重に作業を進めるのを、微笑みを含ませて見守っている。
少しずつ夜が明けていく薄暗さの中に、古庄の安らかな表情が浮かぶ。その表情を見て、真琴の心もホッと和いでいく。
――あの人のあんな顔を見られるためだったら、私はどんなことだって……。
それは、真琴の誓いのようなものだった。古庄が安らかで幸せでいてくれることが、真琴にとっても何よりも幸せなことだった。