恋はしょうがない。〜職員室の秘密〜



 そう言う古庄は、まだ帰ってきて間もないのだろう。少し息を荒げていた。


「次の時間はお互い一・二組の分割授業だろ?三時間目空いてるよな?この後のことについて校長と話をすることになってるから、一緒に校長室に行こう」


 つらつらと事情を説明する古庄に対して、真琴は開いた口が塞がらない。この驚愕は、さっき婚姻届を目にした時の比ではない。



「……ということは……」



 真琴がゴクリと唾を飲んで、ようやくそうつぶやくと、古庄は幸せそうに、極上の笑みで再び耳元で囁く。



「これで、賀川先生は俺の奥さんになったってことだな」



 古庄は真琴の肩をポンポンと叩いてから、授業道具を携えて出入口へと向かう。
そして、出入口のところに立てられている大きな地図の軸のうちの一本を肩に担いで、足取り軽く職員室を出ていった。
 そんな古庄を、真琴は呆気にとられて見守っていたが、チャイムが鳴って我に返り、急いで授業道具を抱えて駆け出した。





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