年下オトコたちの誘惑【完】
「碧都…?」

部屋の中に入ると、碧都はベッドに腰かけて窓ガラスから、外を眺めていた。

長い脚を組んで…。それだけで、モデルさんみたい。

わたしが声をかけても、碧都はピクリとも動かなくて。

ゆっくり近付くと、碧都の横顔。それを見た瞬間、胸の奥がガツンと痛くなった。

これじゃぁ、尚樹が変に思ってもおかしくないかな…。

昨日の碧都にはない、抜けた感じだった。

「碧都、おはよう?」

それでも話しかけなきゃ、と。碧都の目の前に立ってみる。

碧都は、ゆっくりとわたしを見ると一瞬目を大きくし、その後はプイッとソッポを向かれてしまった。

「あの、今日も一日よろしくねっ!」
「……あぁ」

碧都の返事は、これだけ。あー、わたし碧都のこと苦しめてる。

じゃぁ、あの告白受け入れる?受け入れられるの?

碧都のこと、信じきれる?碧都は、自分だけ見てくれるって信じきれるの?

やっぱり、怖いよ…。ごめんね、碧都…。わたしがどうしようもない、オトナなんだよ…。

「ねっ、碧都‼︎わたし、たこ焼きクルクルしてみたいなー‼︎なぁんて?」
「たこ焼き…?あー、うん。分かった、教える」
「う、うん。ありがとう」

わたしは、どうするべき?こうやって、碧都にたくさん話しかけるべき?

それとも腫れ物を扱うみたく、ソッとしておくべき…?

全然、わかんない…。
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