年下オトコたちの誘惑【完】
片方の手は、わたしの頭を撫で。時に髪をクシャッとし、感情的になる。

もう片方の手は、わたしが反応する場所を何度も何度も執拗以上に攻め立てる。

「あお、と…。もっ、だめ…」
「もっと、ダメになっちまえよ」

その言葉とともに、グッタリする身体。これからもっと快楽が待ってると思ったら、若干怖くなった。

「俺がいる。ずっと杏の傍にいるから、お前はなんも考えんな。俺だけ見てればいい」

そう言われると、さっきまで怖かった気持ちが、スッとなくなった気がした。

シーツの擦れる音、お互いの息遣い、時たま漏れる自分の甘い声。

それは、碧都が倒れ込むまで続いた。

「碧都…」
「ん?」
「ちょっとだけ、昔話してもいいかなぁ…?」
「あぁ。全部受け止めてやるから、全部吐いちまえよ」

お互い数分間の間、手を繋ぎながら天井を見上げていた。

頭も身体も密着したまま、ただ時間が過ぎてくのを待ちながら、わたしから口を開いた。

「うん…。あのね…」

ツライけど、心に溜めとくほうが、もっとツライ。

だったら、全部言葉にして、口にして、忘れてしまおう。

真哉のことも、母親のことも…。

キュッと、碧都の手を握ると、同じくキュッと握り返してくれた。

「元婚約者…。真哉とはね…」

何度言葉に詰まったっていい。今、この瞬間が大切だから…。
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