年下オトコたちの誘惑【完】
「えっ?そうですか…?わたし、ウサギですけど…」
「あああ、やっぱり…」

テーブルに項垂れる真哉は、見ていて少しだけ可愛かった。

「課長も、ウサギさんですか?」

頭の上に両手を置いて、ぴょこぴょこウサギさんのマネをして見せた。

「嫌がらせ?」
「あはっ」

睨みつける真哉。それを、ケタケタ笑うわたし。

そんなわたしたちの距離を、グッと近付けたのは二次会だった。

二次会に行ったのは、わたしと真哉を入れて五人。

みんな既婚者だったり、小さな子供がいたりするから、騒ぐのは一次会だけだったりする。

向かい同士に長ソファーがあって、流れ的に、わたしと真哉がとなり同士なった。

オンナが二人にオトコが三人。それぞれが、それぞれの好きな歌を入れていく。

みんながノリノリの曲を歌う中、真哉はシットリとしたバラードを歌った。

思わずウットリする。歌は卑怯だ。どんな人でも、歌がうまけりゃそれだけで数百倍カッコよく見えるんだから。

「どうだったかな?」

周りがうるさいから、真哉がわたしの耳元に、クチビルを近付ける。

「ス、ステキでしたっ」

わたしも真哉の耳元に、クチビルを近付けた。
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