彼氏人形(ホラー)
パーツが並べられている更に奥には、


人形の目だったり、髪の毛だったりする細かな部分も売られていて、それはまるで人間を切り売りしているような状態に見えた。


ゾクゾクと背筋が寒くなり、微かな吐き気が込み上げる。


こんなの趣味が悪すぎる。


それなのに、実紗はどんどん店の奥へと足を運び、まるで品定めをするように、1つ1つ丁寧に見ていく。


まさか、こんなものを本気で買うつもりじゃないだろうか。


「ねぇ、実紗ってば!!」


あたしは焦りを感じ、実紗の腕をきつく掴んだ。


その声に気が付いたのか、【スタッフオンリー】と書かれたドアの向こうからゴトゴトと物音が聞こえた。


「実紗、帰るよ」


店の人が出てきたらことさら厄介になると感じ、あたしは強引に実紗の腕を引く。


「少し、お店の人に話が聞きたいんだけど」


「実紗、あんた本気なの?」


あたしは唖然として実紗を見つめる。
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