彼氏人形(ホラー)
「そんな人形だなんてあたし聞いてない! 知っていたらあなたたちに勧めたりしてないわよ!」


有里が自分の誤解をとこうと必死に抗議する。


その目には涙が浮かんでいて、今にもこぼれおちそうだ。


「……わかった、有里を信じる」


実紗がそう言うと、有里の表情が明るくなった。


「ありがとう……」


「その代わり、有里も手伝って」


安堵している有里に、あたしはそう言った。


「手伝う……?」


「彼氏人形は返品も交換もできないの。だけど止める方法は1つだけある」


「なに……?」


「スイッチを押すことよ」


あたしの言葉に、有里は不安そうな表情を浮かべたのだった。
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