ヒミツの王子さま!



「そうそう、ミスコン、惜しかったのね。出場するって聞いた時はヒヤヒヤしたけど、なんとかお友達にフォローしてもらってるみたいだし。それもあなたの人脈かしらね?」


「人脈っつか……俺は何もしてませんけど」




急に校内放送で呼び出されるからなんの話かと思ったら。

俺の近況評価かよ……。



面倒で思わず舌打ちをした俺を見て、理事長は面白そうに笑った。





「相変わらずね。 最初はどうなるかと心配だったけど、もう少しで3年生だものね。 あと1年、男の子って事がみんなに知られないように、精進してちょうだいね」


「……はあ」



また曖昧に返事をする。
でも、それで満足したのか、理事長は「また話を聞かせてね」と言って楽しそうに笑った。


ったく。
ふざけてんな……。
完全に楽しんでる。



理事長室を出た瞬間、「はああ」って大きなため息がこぼれて、そのまま扉に背をつけた。




あと1年。
それで終わる。


半年、頑張ったんだ。 頑張ったか?
いや、俺頑張っただろう……。





だけど、

俺は気が付かなかったんだ……。




すぐ近くに人がいたことに。







「ナオっち……今のどういう事?」




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