ヒミツの王子さま!



「……7年前にも、同じような事があったんです。

新しい学校に転校した時、とくに性別を偽ってたわけじゃないんだけど。

やっぱり間違われてて。
キツくて……子供ながらすっげぇ傷ついて。



だから、今回は女としてって事が条件だったから。
トラウマっつーか……。
受け入れる事もなかなかできなくて。
だけど……
もしこの事がバレたら、退学だし」






って……俺、何言ってんだろ。


この壇上からは、全校生徒ひとりひとりのの顔が、よく見えた。



みんなが、俺の事をジッと見つめていて。
言葉に耳を傾けてくれていた。


その中に、知った顔を見つける。





「……実際、退学ってのは俺の中でどうでもいい事でした。
こんな生活が終わるんなら、全然それで構わないって。
女になりすましてるなんて、ウザイだけで……」








壱也……。

まっすぐに俺を見つめる壱也。



ムカつくけど。
だけど、俺……。



お前に憧れてた……。



壱也みたいになれたらって……。
憧れてたんだぜ?



わかる?俺の言いたい事。




って、壱也に向かって眉をクイッと上げて見せると。
そんな俺を見て、壱也は肩をすくめるようにして口元を緩めた。




< 183 / 214 >

この作品をシェア

pagetop