ヒミツの王子さま!


お祭り騒ぎと化した体育館の中は、先生たちの制止もむなしく、もうすでに式どころじゃない。




「とにかくだ!
みんな春休み中、はしゃいで事故しないよーに!
いいかー! また来月元気に来いよ!

以上、修了式終わりーー」




なんて、マイク越しに成瀬が言って、よくわからないうちに式は終わった。


数人の先生に抱えられるようにして、校長が運ばれていく。
ズレたメガネの向こうに青ざめた顔。

あーあ……大丈夫か?





理事長なんて我関せずって感じで、笑ってさっさと出てっちゃうし。




無茶苦茶だな……。
って、俺がこうしたのか。





気が付くと、いまだに壇上にいた俺を見上げるように、クラスメイトがそこにいて。




「……なんだよ」



思わず引く俺。

だって……みんな顔気持ちわりぃっつの!


ニヤニヤしてるその顔の真ん中に…………日向。


そして。
あれよあれよという間に、前田や砂原に背中を押されて日向も壇上に上がってきた。




「……ちょ……なにするの?」


「なんのつもりだよ」




なぜか全校生徒の前で、俺と日向がふたり。
ステージ上にいる。



……これは……。
嫌な予感。








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