社宅アフェクション
日曜日の今日、引退式をやった。
俺の野球人生からの引退式。


昨日の試合には負けた。あと一歩だった甲子園は、俺の最後の一振りで逃した。


川崎正吾の最後の球はストレートだった。なんの変哲もない直球。その日最高球速を出した球は、俺のバットに当たって飛んで、ライトに捕られた。くしくも、俺のポジションに。


中学最後の試合と同じ。結局、川崎のチームにかなわなかった。
だけど一つ違うのは、あいつからアウトをとったこと。
あいつの成長には追いつけなかったけど、俺の努力も少しは報われた気がする。


ただ、甲子園に連れていけなかった。
あいつらの気持ちを知って、あいつらに散々迷惑かけて、あいつらの想いを受け取って……
野球で返せなかった。


悔しい。虚しい。苦しい。申し訳ない。腹立たしい。悲しい。


試合の後に出てしまった涙。そこにはどんな想いがあったか自分でも分からないけど、今まだ心の中で渦巻いている。気を抜くと、あふれそうになる。


昨日はあいつらを避けるように家に帰って、父さんとも話をせずに寝た。メールも電話もすべて無視して寝た。野球がなくなって、どうすればいいか分からなくなって、寝たんだ。



そうして、引退した。
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