社宅アフェクション
月曜日の午後、しかも晴れている日に似つかわしく、殺風景に見える公園。
遊ぶ人のいない遊具って、存在しているのにむなしく感じる。


ひとつしかないベンチに座って勝彦が来るのを待った。そもそも準備って何するんだろう。


「まっ、まさか‼」


記憶を奪った私を攻撃するための準備!?ヤバい……私、防御と反撃の準備してない‼
……って、私のせいってことも、勝彦は覚えてないだろうな。


「遅い……」


絶対5分たった。こんな暑い日差しの中、ずっと待たせるなんて。日焼けしちゃう……
まさか、日焼け対策中!?正真正銘のオトメを差し置いて、日焼け止めクリームとか帽子とかっ‼


「んなわけないか……」


バカくさいことばかり考えてしまう。無意識に話をそらしたいのかもしれないな、私。
やっぱり緊張するよ。その後の勝彦は、私は、どうなるのかとかさ。


「あと10秒。あと10秒してもこなかったら今日はやめよう」
「おい!真綾!」


時間制限をもうけた瞬間、社宅のほうから声がして、勝彦が歩いてくるのが見えた。
神様は言っている。今日、いま、話せと。


「はぁ……ここに座って、勝彦」
「なんでため息つくんだよ」
「いいから早く!」


私の心の準備がようやくできた。
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