社宅アフェクション
朝練ができる時間は短い。やれることも限られている。その中でどれだけ強くなれるか。俺はいつだって真剣だ。


「いつだって真剣って、最近さ、本練ちょくちょく休むよな。朝練に気合い入れてもなぁ」
「うっ……」


同じクラスの酒田に、つっこまれた。確かに、大陸のために図書同好会に入ってからは週1のペースで休んでいる。


そのくらい、じゃ済まない。3年になって放課後補習で部活時間は短くなってるし、帰ってから自主トレしてるっつっても部活に比べたら…


「中学ん時から今までさ、風邪ひこうが熱だそうが練習休んだことないやつが、この時期になってどうしたんだよ。レギュラー外されるぞ?つか、俺がとるぞ?」
「その前にベンチ入りしろよ。ってお前!さっき俺の心の中と会話しなかったか!?」


細かいことは気にすんな、とか言いながら、酒田は道具出しに走っていった。


9年の野球人生は無駄にしたくない。でも大陸も心配だ。
俺は野球と大陸を天秤にかけた。
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