君色太陽
⚾︎好きでいさせて

夏希side.




蝉のうるさい声に
冷房がなかなかきかない暑苦しい教室。


あたし河村夏希(かわむら なつき)は
高校に入学して初めての夏を
迎えようとしていた。



「ねー、夏希!夏休みどっか遠出とか
しないっ?ディズニーとかさ!」


仲良しの大谷愛美(おおたに あいみ)が
シャープペンをくるくる回しながら
楽しそうに話しかけてきた。




「ごめん、愛美。あたし夏休みは部活で忙しいや」




あたしは野球部のマネージャーをやっている。
夏に限らず休みは週1。
もちろんディズニーに行っている暇などあるわけがない。



「あ、そっかー。野球部休みないもんね。しょうがないっ
んじゃ、お祭りは?!来週の土曜日にあるお祭りっ
あたし男友達誘うからさ4人で!ねっ?」


愛美は男友達が多い。
こーゆー誘いも珍しくはない。



「え、やだよ〜。あたし知らない男子とそゆの行けないもん。」


やんわり断ったつもりだったが
愛美もグイグイ誘ってくる。


「いいじゃん、ちょっとくらい〜。
それともなによ〜愛しの瞬くん以外興味ないって??」


「ちょ、ちがうちがう
そゆのじゃないから。ほんっと。
愛美そのネタ禁止だってば」



痛いとこついてくるもんなあ愛美。




でも愛美の言った通りあたしには
好きな人がいる。



追いかけても追いかけても届かない
大好きな人。



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