また会える日まで。

初恋


ヒロくんと別れて、家に入る。


別れるっていっても、ヒロくんの家は斜め前にあるからすぐそこなんだけど。



「ただいまー」


そう声に出して言っても、返事は帰ってこない。



…まぁ当たり前なんだけど。


あたしは、小さい頃に母親が男を作って家を飛び出して行ってからずっと父親と2人で暮らしている。



お父さんは割と大きい会社の社長だし、片親でも金銭面に困ったことはなかった。


家事も、ずっと父方のおばあちゃんがやってくれたからそこも大丈夫だったんだけど、一昨年の秋、そのおばあちゃんがなくなってからはあたしがやっている。



お父さんは優しい人で、いつもあたしのことを考えてくれる。


けど、忙しいくて、朝早くに出て真夜中を過ぎた頃帰ってくるような人だったから中々遊んだりはできなかった。
< 12 / 14 >

この作品をシェア

pagetop