Sweet Rain
第一章
暗い道をひたすら歩く─。

一人っきりで、ポケットに手を突っ込んでいた。

両耳にはイヤホンから音楽が流れている。

夕刻のアスファルトは雨に濡れていて、街頭の放つ青白い光で黒光りしていた。

ボクの靴がその上を噛みしめるように踏む。

踏んでは、離し、踏んでは離すの繰り返し。

空を見上げると、曇っていた。

今にも雨が降り出したそうにしている。

「うっ」

目の中に雨粒が入ってしまった。
痛い。目に染みたんだ。

やがて雨足は本格化を増し、僕は逃げるようにしてその場から離れた。
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