俺様王子様
恋って
「なんか、ドラマみたいな話だけど実際にあるんだね!こんな話…」

「だけど、わたくしと漣のように認めてもらえるので朱莉ちゃんも…」

「無理だよ!」

杏菜ちゃんの言葉を遮るようにあたしは言った。

「山神くんのお家はきちんとしてるとこだもん。それなら説得できる。…だけどあたしの家は普通の家。説得するも何もないよ」

あたしがそう言うと、杏菜ちゃんも黙ってしまった。

「あたしね、未月から好きって言われたことないの。未月は許嫁がいるって分かってるよね?…だけどなんであたしなんかを…」

そういったところで涙がぽたぽた落ちてきた。

「あたし、未月からなんにも聞いてない。神藤さんのことも、ドイツに行くことも。…こんなの彼女じゃないよね」

あたしをぎゅっと抱きしめながら、杏菜ちゃんも泣いていた。
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