俺様王子様
幸せ
「朱莉〜?準備できた?」

あの日以来、こうやって毎朝未月があたしのドアを叩くようになった。

「できたよ!」

あたしはドアを開ける。
そして一緒に並んで学校まで登校する。
どっちから言い出したわけでもない。
だけど、あたしの右隣りに未月がいるのが心地よかった。

そんな平和な日々の中、それは突然やってきた。

「朱莉ちゃん、わたくし…」

杏菜ちゃんが神妙な面持ちで話しかけてきた。

「どしたの?杏菜ちゃん」

「わたくし、イギリスに行かなくてはならなくなりました」

「え?留学かなんか?」

「いいえ。家の都合ですわ」

「どれぐらいで帰ってくるの?」

「………一週間先か、3年先か、わたくしにもわかりませんの」

頭を石で殴られたような、そんな衝撃が走った。
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