本当の居場所


涙を流すあたしの目元を、優矢は優しく拭う。

一瞬、体がびくっとなった。


今の話を聞いて、優矢はどう思ったかな?

怖くてたまらなかった。


「紗雪」


頭の上に響く、優矢の声。

ふわりと優矢の香りに包まれた。


「一人で抱え込むなよ…」

「え………?」


優矢の声が、なぜかつらそうだった。


「俺に悪いと思って話さなかったのかもしれないけど、一人で抱え込んでる紗雪見る方がつらい」


『もっと頼れよ』

そう言う優矢の優しさが、強く心に響いた。




< 205 / 277 >

この作品をシェア

pagetop