幕末オオカミ 第二部 京都血風編
「上様の客人だという方が、籠に乗ったまま城内へ入った。
顔は誰も見ていない。もしや……楓が連行されてしまったのか?」
きっとその籠に、楓が乗っていたんだ。
俺がただうなずくと、斉藤はみるみるうちに厳しい顔をした。
「お前が一緒にいながら、どういうことだ?
楓はどこで連れ去られたんだ?
しかも、籠が入城したのは一刻も前のことだ。
なぜすぐに追ってこなかった?」
質問責めにされればされるほど、自分のバカさ加減を思い知って、頭が痛くなるようだった。
「とにかく、今休憩中の幹部を集めよう。
そこで事情を説明してくれ」
斉藤はそう言うと、近くにいた3番隊の隊士と交代し、俺の羽織をぐいと引っ張った。