幕末オオカミ 第二部 京都血風編


「あれだけ深手を負ったなら、もう動けなくなるはずだよね」

「ああ」


総司は自分が出ていくまでもなさそうだと、刀をおさめたまま様子をうかがう。

しかし……。


「この、奸賊ばら!」


そう絶叫しながら、伊東は襲いかかった隊士を、抜き打ちに斬り捨てた。


あんな深手を負っているのに……。


「さすが、免許皆伝なだけあるな」


隊士たちは一瞬おののくが、刀を握りなおし、再び伊東に向かっていく。


すると、ふらついていた伊東の足元が、いっそうぐらりと揺れた。


「な、なんだ……?」


隊士が歩みを止める。


それもそのはず、揺れた伊東の足元がゆがみ、突然膨れ上がったからだ。


「総司、あれ!」

「噂のもののけか」


そう言っている間に、伊東の足が一本に繋がってしまっい、まるで大蛇のように固そうな鱗に覆われた。


いやあああああ!!

もののけのついでに、蛇じゃん!気持ち悪い~~!!




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