幕末オオカミ 第二部 京都血風編
平助くんは頭と手で、まるで山の噴火みたいな動作をする。
けれど、それはいつものように笑えるような元気のあるものじゃなかった。
『結局、剣を持つ奴らがなにを言っても、変な慰めにしか聞こえないのかも。
その点楓は、そこにいてくれるだけで、空気が明るくなるからさ』
『そうかな……』
『うん。だから、監察の仕事も大変だと思うけど、暇があったらなるべく山南さんのところに寄ってくれないかな。頼むよ』
そんなに山南先生を心配するなんて、平助くん、やっぱり優しいな。
あたしがうなずくと、平助くんは安心したような顔で笑ってくれた。
そんなわけで、山南先生のところにできるだけ寄るようにはしているのだけど……。
果たして、気晴らしくらいにはなれているのかな?
のほほんと二人でお茶を飲んでいると、巡察帰りの斉藤先生が部屋に入ってきた。
「あっ、おかえりなさい」
「ああ……楓、山南総長、ちょうど良かった。
いい知らせがあります」
斉藤先生は大刀を置くと、珍しく笑って言った。
「隊士募集の一行が、近々戻られるそうですよ。
藤堂ははまだもう少し江戸に残るそうですが、局長が面白そうな人物を連れてくるそうです」