忠犬ハツ恋
「早くこっちにおいで。」

大ちゃんがソファーをトントンと叩く。
私はこの後の展開が読めずに二の足を踏んでいた。
痺れを切らした大ちゃんの方からキッチンに近づいて来る。

私はつい2歩後ずさった。

大ちゃんは私の腕を掴むと
「さすが大我は侮れないな」
と呟いた。

タイガ……大ちゃんは一色先生の事をそう呼ぶ。

「お前の様子がおかしいって大我が言うから来たんだよ。お前熱あるじゃないか。
いつから調子悪かった?
いつも無理するなってあれだけ言ってんのに。」

熱?……あぁ、だからこんなに頭がフラフラするんだ。

「無理して俺のお使いなんてしなくて良かったんだよ。なのにその後図書館行って雨に降られて、こんな時間まで風呂?何してんだよ。」

「お風呂に入るまでは元気だったの。本当に。」
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