忠犬ハツ恋
檜山君はお盆に蓋付の丼を3つ乗せて上の201号室へと歩き出した。

「3つ?」

檜山君が2人前食べるんだろうか?

「荒木先生もメシ食いに来る。
いいだろ?」

檜山君の家で2人きりじゃないのは正直有難かった。

「うん!全然平気!」

檜山君の家のリビングに2人して落ち着いた頃、荒木先生がやって来た。

「いや〜腹減った。今日は牛丼だって?」

3人で丼の蓋を開けてしばし沈黙する。

「あいつは確かに牛丼って言ってたけど…?」

見ると丼は牛肉を卵でとじてあった。
荒木先生が優しくフォローする。

「まあ、こういうのもあるから。他人丼って言ってさ。」

「い〜や、サクラさんはそこまで考えてないはずだ。これがあいつにとっての牛丼だぜ。」

「まあ、食えりゃぁ……ね?」

確かに他人丼は食べて普通に美味しかった。
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