忠犬ハツ恋
ドレスの試着を終えると次にデザートブッフェの試食会が待っていた。

まるで宝石みたいに白いお皿に小さなケーキが綺麗に並べられ、どれから手を付けていいか分からない。

大ちゃんは私の携帯でさっき撮ったウェディング姿の写真を見ていた。

「これ、忠叔父さんには見せるなよ。
きっと機嫌を損ねるから。」

「うん、そうだね。」

私達の結婚を最後まで渋ったのは私のお父さんだった。

最愛の1人娘。
16で嫁にやるのは堪え難いお父さんの気持ちは分からなくはない。
だからせめて婚約という形で手を打った。
でも相手は勝手知ったる甥っ子の大ちゃんだ。
何もそこまで頑なに反対しなくてもいいんじゃないかと不思議だった。
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