忠犬ハツ恋
「飲めない。
勿体無いよ、クマが消えちゃう。」

「それくらいまた作ってやる。」

「本当?!」

檜山君が静かに頷くのを確認して私は恐る恐るコーヒーを手に取って一口飲んだ。

「…美味しい……。
私どっちかというとコーヒー苦手で…。」

「そりゃ良かった。」

そう言って檜山君は笑った。
いつもは長い前髪が瞳を覆っているが、
今その前髪はキャスケットの中に収まっているから柔らかく笑う檜山君の瞳を目の当たりにしてドキッとした。

「いつも……そうやって顔出してたらいいのに。」

「本当は切りたいんだよ。
でも人に髪切られるの苦手。
自分で切るのはもっと苦手。」
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