忠犬ハツ恋
「別に俺は美咲ちゃんに今すぐ子供を持てと言ったわけじゃない。美咲ちゃんの高校生活は大事だ。
ただ抱くくらいいいんじゃねぇの?それで美咲ちゃんが安心するんならさ。
お前にとっても願ったり叶ったりだろ?」

「そう言う問題じゃない!
俺は美咲の親父との約束を破るわけにはいかないんだよ。」

大我はヤレヤレといった風に視線を空に泳がせた。

「大ちゃんは硬派だねえ〜。
知らねぇぞ、うかうかしてる間に美咲ちゃん盗られても。」

大我はそう言って俺の前に何かを投げた。
反射的に受け取るとそれは見覚えのある髪留め。

「シュシュって言うんだっけ?
それ、美咲ちゃんの?」

確かこれは美咲が中3の時に俺が買ってやったやつだ。

「何で大我がこれを持ってる?」

「檜山圭太から渡された。
"それは返す"って意味深な事言って去ってったけど?
あいつはどうも俺を美咲ちゃんの婚約者と思ってる。
それは返す?じゃあどれは返さないつもりなんだろうな?」
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