忠犬ハツ恋
茜ちゃんは担任の亜希子先生に朝1番に真実を全て話したと言った。
亜希子先生からは"もっと自分を大事にしなさい"と叱られたらしい。

クラスに蔓延していた噂からは私が茜ちゃんを守る気マンマンでいたのに、茜ちゃんはあっさりと妊娠して流産した事を認めてしまった。

そうすると不思議とクラスメイトの目は茜ちゃんを軽蔑する事より尊敬する方に変わる。

彼氏がいて妊娠・中絶が他人事じゃない子からは相談されるようになり、クラス中が茜ちゃんの体を気遣った。

私の心配は取り越し苦労状態になっていた。

茜ちゃん……すごい…。

「周防は逞しいな。」

女の子達に囲まれてあれやこれや質問攻めにあっている茜ちゃんを某然と眺めている私の傍らで檜山君が呟いた。

檜山君もそれなりに茜ちゃんを心配していた。
でも今は安堵の表情を浮かべていた。


体調が良くなると茜ちゃんは部活にも復帰して以前と何も変わらない茜ちゃんがいた。
私はきっと地球が引っくり返っても茜ちゃんには敵わない、そう思った。
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