忠犬ハツ恋
そして、それから…
確かにあの時"首を長くして待ってろ"とは言われたけど………。

あれからまた1年の月日が過ぎた。

前と違うのは度々檜山君と電話で話す事が出来る様になったという事くらいで……。

声を聞いたら会いたくなる。
檜山君にはそんな感覚無いんだろうか?

「檜山君のバカ!」

そう呟く私を茜ちゃんが笑う。

「何?檜山、まだ帰って来ないの?」

「電話する度"もう少し待て"って言われる…。」

「あぁ〜、それダメ男の典型って感じ〜。
そうやってズルズル期待させるだけさせといて"ポイ"みたいなね?
もう大ちゃんに戻ったら?」

茜ちゃんは他人事だと思って楽しんでいた。

「大ちゃん以外の男にも目を向けろって言ったの茜ちゃんでしょ?それを今更戻れって言うの?」

「じゃあさ、今日新しい人見つけなよ。
今日は沢山出会いがあると思うよ〜。」

今日は学祭だった。
皆、お互いの身だしなみをチェックし合い
学祭の開始を今か今かと待っている。
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