カプリチオ

ボソボソと聞こえてくる。
それは─────────、

「ねえねえ、あの烏田真琴って人すっごくかっこいいよねー」
「わかるー」
「色素うすーい」
「イケメ~ン」
「てか後ろに座ってる人根暗っぽくない?」
「てか根暗じゃん」
「髪ボサボサしてるよ」
「烏田くんを見習ったらいいのに」
「てか前髪見えないし、姿勢悪くてなんかもうかわいそうにすら見えてきた」
「確かに…」

というふうな具合で、本人たちは自覚してないであろう悪口に加え、同情の眼差しを投げかけてくるこの状況。

話しているのは女子六人。
お前らもう仲良くなったんだな、アレか、誰かの悪口を一緒に言うことで友好を深めていく女子特有のアレか。

まあ、俺としてはキャーキャー叫ばれるより随分いい。
別に女性が嫌いでも苦手というわけでもないが、あの甘ったるい目でこちらを見てくるのが嫌だ。
大きい声で叫ばれるのが嫌だ。

今のような軽い同情の眼差しとボソボソ声は非常に喜ばしい状況だな。

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