死神と吸血鬼を好むようになった人間の過程
――血、だ。


蚊が吸ったものだろうが、異様に魅力的な赤色であった。

血だ、血だ、と初めて富士山を見た子供のように、はしゃいでしまったことを、おぼろげながらに憶えている。


それまで蚊を殺したことぐらい何度もあったのだが、なぜその時にいつも以上に興奮したのかは、未だに不明である。
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