瞳が映す景色

「でも……」


言葉が途切れた藁科を見ると、まつげが震えていて。また泣きそうになっているのか?


「でも、私はもっと、とても幸せなんだなって。好きな人が、同じ時間を生きてくれてるんだから」


「……ここでそんなこと言うな」


「じゃあ私は、好きな人に、どこで気持ちを伝えればいいの?」


「言ってもいいのか?」


「っ」


「構わないが」


「すっ、すみませんっ。……言わないで下さい」


「……」


それでも、オレは言ってしまえばよかったんだ。

< 55 / 408 >

この作品をシェア

pagetop