瞳が映す景色

嫌いなんかじゃない。


とっくの前に好きだった。愛しさを、今さら思い知る。


最初は驚き焦るだけで、そんな感情は無かった。 けど、生徒だという以外は心に響くことばかり。


幸と不幸。正義と悪。目にしたくはないことも素直に受け止めようとし、己の卑怯を自覚して足掻くその姿勢。そのままでいいんだと、オレが分からせてあげたかった。


時折間違うけれど、愛しくて仕方がなかった気遣いだらけの行動。


――とても寒い十二月の夜。甘いココアと微笑み、優しさで、あんなふうに慰められて嬉しかった。あんなに早く普通に戻れたのは、オレが藁科を好きだからだと、今気付く。確かに救われたんだ。


会いに来てくれて、愛を囁かれる時間は、幸せでたまらなかった。


深い茶色の瞳が、オレの前でだけ強さを増す時、 刹那でなく永遠を望んでた。


もちろんそれだけじゃない。


ああ、藁科の言う通りだ――本当に、きりがない。


理由なんて……。




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①ー6・茜の中で
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