MOONLIGHT
14、前進と現実



帰国してからは本当に多忙だった。


翌週からは、T大に通うようになったし。

鎌倉学院大学と病院のスケジュール調整の上、結婚式の準備も入ってきたから。

だけど、私が気にするのは招待者くらいで、後は面倒だし将の事もあるので、将の事務所に全てまかせてしまった。

将の方の招待者が凄い数とメンバーなので、つり合い的に葉山の方が絡んできて、結婚式というより一大イベントとなってきた。

はっきり言って面倒だけど、私的に特に希望もないし、将の方はきっと仕事上のことが関わってきて色々あるだろうし。


結局私の事は空港で目撃され、写メも取られたのでネット上に顔は出てしまった上、鎌倉学院大学病院の医師であることが公になってしまった。

取材が殺到しているようだが、今のところ神田先輩がのらりくらりとかわしてくれている。

週の半分はT大に通っていていないし。








「相席いいですか?レイさん。」


14時半過ぎ。

T大の近くのカフェで、遅めの昼食をとろうとアメリカンクラブサンドとコーヒーを注文し、タバコを吸いながらまっていた時。

いつぞやの、なんとかっていう雑誌社のイケメンが話しかけてきた。


「今日は、他に席空いてますよ?」


そう言ってノートを開く。


「いや、レイさんと一緒したいから。」


強引に一緒のテーブルにつく。

はあ。

じゃあ、きいた意味ないじゃん。

そう思い、呆れてノートから顔を上げなかった。



そうこうしているうちに、注文ししたメニューが届いた。

無言で、アメリカンクラブサンドを頬張る。


「今日は無口ですね。」

「……お腹がすいているのと、この間と違ってあなたがうるさいから。」


この間はうるさいと思わなかったのに、今日は何故かうっとおしく感じる。

私がそう答えると、彼はため息をついた。


「・・・参ったな…。何かお見通しだな。確かに先日は単純にレイさんに興味があったんですけど。今は仕事の面と2通りで興味があるから。」


なるほど、雑誌社の人間だものね。

将の婚約者として取材対象ってことか…。


「私は一般人だから、取材とかは受けないわ。」


そう言うと、私はお店の人を呼んだ。


アメリカンクラブサンドを1キレだけ食べただけで、後は包んでもらった。

伝票を持って、席を立つ。




店を出ると、慌てて彼が後を追ってきた。

もう、うるさい。


早足にT大に向かう。





< 114 / 173 >

この作品をシェア

pagetop