MOONLIGHT



将の腕の中には、弁慶と私。

弁慶が落ち着いて、私にすり寄る。


「こうすれば、問題ないだろ?」


いやいや、問題あるでしょう?

皆こっち大注目だし。


「いや、将…マズイでしょ?」


そう言うと、将がクスリ、と笑った。


「マズくないよ。今日夜11時から婚約報告会見するし。週刊誌に記事がのったから、事務所で相談して緊急会見にしたんだ。夕真ちゃんに頼んで、青山華道会館の会場借りたし。」


将の言葉に驚愕した。

信じられない。

浮気記事をうやむやにするために、婚約会見をするなんて!

一体どういう神経してるんだ!?

私の顔が強張ったことに気がついたのか、将が
少し話そうか、とスタジオの隣の打ち合わせ室に私を連れ込んだ。

正確にいうと、弁慶もだけど。




「さてと。」


私を椅子に座らせ、自分はその前に跪き私と目線を合わせる、将。


「何が気に入らない?何でそんな顔してるんだ?」


浮気をしてるくせに、堂々とそんなことが言える神経がわからない!!

ジロリ、と将を睨む。

将が、怯むことなく私を見つめ返す。

そして、口を開いた。


「どうせ、今までのパターンを考えると、間違った方向で激しい思いこみをしてるんだと思うけど、言わないとわかんないぞ?」


何か、ムカつく。

浮気してるのに、開き直ってるし。


「…私は、一般人だし…芸能界では、普通のことでも、いくら将が人気があるからって、我慢できないし…。」

「芸能人でも、一般人でも、我慢できないなら我慢しなくてもいいと思うぞ?俺も、我慢できなくてムカついたし。」

「え?」

「だからっ、さっきの西条さんだよっ!?何であんなに親しげに話してんだよ?スゲームカついた!」

「え、と…西条さんって?誰?」

「だから、さっきレイが喫煙所で、笑いながら話してた雑誌社の編集だよ!!何で知ってるんだ?俺、言っとくけど、浮気は許さないから!!」

「はぁっ!?浮気したのは、将でしょっ!?何週刊誌にバレてるの?モデルとのホテルお泊まり愛って何?信じられない!!もう、将とは結婚できない!!」


私がそう叫んで肩で息をしていると、一瞬ポカン、とした将が。


「原因は、それか…。」


と、力なくため息をついた。


そして、その部屋にあった雑誌を手にした。


あ、例の雑誌だ。




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