リアルフェイス【短編】

「や、やったー!」


隣に立つ由実と抱き合うようにして喜んだ。


お互いに体は横向けていたけど、顔だけはしっかりと真正面――フィールドを見ていた。


嬉しそうにガッツポーズをする和くん。


ああ、今すぐにあそこに行きたいよ。


いつも思うのだけど、試合中は和くんのそばに寄れなくてもどかしい。


本当は誰よりも近くに行って、喜びを分かち合いたいのに。


ゴールを決めた直後と試合の終わったあとでは、どうしても喜びの大きさが違う気がしちゃうんだよね。


それは突然だった。


鉄平チームのキックオフで試合が再開したかと思うと、ボールは大きく孤を描き、相手陣地の中ほどにいる鉄平の足におさまった。


一瞬、何が起こったかわからなかった。


キックオフのときは相手陣地に入れない。


ということは、鉄平はキックオフで前にボールが出たと同時に、敵を振り切るように走りだしたってこと?


呆然としているあいだに鉄平はドリブルを続ける。

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