桜の蕾が咲く頃に

第一章

ピッ、ピッ、と機械の規則正しい音が私の意識を浮上させる


ゆっくりと目を開けると白い天井が見えた


ぼんやりと眺めているとふと消毒液の匂いがする


ーー……？


目覚める前のことを考えようとするがなに一つ思い出せない


「亜奈っ！ 目が覚めたのね⁈ よ、良かった……」


声がしたほうにおもむろに顔を向けると、養母が涙でぐちゃぐちゃになった顔でホッとしたように微笑んでいた


「……叔母さん」


私は養母の手を握ろうとした


「ーーっ‼︎」


私の意識が薄れそうなほどの痛みが電流のように奔る


「亜奈っ、まだ動いちゃダメよ⁈ 貴方、事故にあったんだから」