わたしの中の 私
しばらくしたある日のこと。

清香が、


「あの子、二股かけられて別れたみたいで、ずいぶん落ち込んでいてね。
今日はあの子を慰めてあげるのに、飲みに誘ったのよ。」


須賀に二股かけた顔も見たことない男に、無性に腹が立ってしかたなかった。

しかし須賀には悪いが、このことがチャンスに思えた。


「……俺も行く。」


無意識に言葉を発していた。

残務を片付け、二人がいる居酒屋に一樹と一緒に行った。

その時すでに須賀は酔い潰れていた。
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