CRIMSON EYESIGHT ~prologue~
教室に入ると、まだ先生は来ていなかった。
「ふぅ…よかった」
荒くなった息を整えながら、私は席についた。
走ったせいでみだれてしまった髪の毛を手櫛ですきながら鞄を開いた。
すると、鞄の中にいつもと違うところが見受けられた。
それは、お弁当の包みの数。
いつもは一つしか入っていないはずのお弁当の包みが二つそこに鎮座していた。
小さめのお弁当包みに、大きめのお弁当包み。
これを見るに、どうやら朝、ジンに渡し忘れたみたいだ。
後で渡そうと鞄に入れたままになっていた。
やっちゃったな…と、心の中で呟く。
一つため息をついて、胸ポケットから携帯を取り出す。
そして、メールを作成する。
(朝、お弁当渡すの忘れたから、お昼休みに屋上で渡していい?)
今、届けようにもすぐに朝のショートホームルームが始まるし。
授業の合間の休み時間は短すぎる。
それに、ジンと私との教室が離れすぎている。
私のクラスがある校舎とは別校舎で、真反対にある。
それでは、休み時間に落ち合うことはまず難しい。
と、いうことで、屋上。
屋上まで行くのは、少し面倒ではあるが、渡し忘れた私に非があるので彼にメールする。
「送信っと」
彼が嫌だと言ったら、別の場所に変えるつもりだった。