ささくれとレモネード



「今はじいちゃんと一緒に暮らしてる。じいちゃん、こっちの人なんだ。家庭菜園もやってる。俺の話を静かに聞いてくれるんだよ。いつも無口だけど、たまに愛想のいい顔して笑うんだよ、」


「母さんにも妹にも月に一度は会ってる。みんな元気で暮らしてる、だからさ、」


「だから、もう泣くなよ」



二度目は我慢ならなかった。


三浦の右手がその肩を引き寄せた。



「ごめん、こんなつもりじゃなかった」


榛名は応えなかった。哀しくて、悔しくて、堪えようとしても止め処なく溢れてしまう。




長く、穏やかな夕日も沈みきった暗闇の中で気まぐれな車のライトだけが、時折二人を照らしていた。






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