ページをめくって
和馬が覗き込んできた。

「冷めちゃうから、早く食べよ」

目を合わせないように、うつむきながら早口で言って私はごまかした。

「うん、わかった」

和馬は仕方ないな、と離してくれた。

なんだろう、動悸が激しい。

こっそりと静かに溜息をついた。

和馬はお昼と同じように「おいしいね」と言ってあっという間に食べてしまった。

「本当に料理、上手なんだね」

「こんなの、たいしたことじゃないよ」

「すごくおいしかったよ。でも、無理はしちゃダメだからね」

「わかってる」

「明日からの話、だよ?」

「うん」

よくわかってる。

本当はいろいろ作りたいけど、きっと心配するから、しばらくはやらない。

でも、今度こそ休みの日にたくさん作って冷凍にして、それを平日に食べるようにしたい。

それはまた次回にしよう。
< 342 / 522 >

この作品をシェア

pagetop